少年カワシュー・Vol26/八千代篇 ~正義のマーシー~

少年カワシュー

”極悪同盟”を擁する隣のクラスには、筋骨隆々の
小林先生が、睨みを効かしていることがわかりま
したが、それだけではありませんでした。
その結果、ふたりのキーパーソンがいることが判
明しました。

一人は、「マーシー」と呼ばれている、学級委員
の”真潮君”です。下の名前は知らないのですが、
真潮、”ましお”で、「マーシー」だったのでしょう。
真潮君は、身長が高く、浅黒く、彫の深い顔立ち
で、ハーフとまでは行きませんが、いまどきで言う
”イケメン”でした。

その真潮君、
歩き方に特徴があり、ピョンピョン飛び跳ねるよう
に廊下を颯爽と歩いていました。上履きの靴底に
強力な”ばね”でもあるのか・・・例えていうなら、
”ドクター中松”が発明しそうな、ピョンピョンマ
シーン的なイメージで、よく疲れないな、と感心し
ていたカワシューなのでした。

真潮君の歩き方は、さておいて、こんなことがあり
ました。
ある日、次の授業のチャイムが鳴っているにもかか
わらず相変わらず、廊下で騒ぎ立てている
”極悪同盟”に対して、臆することもなく、
「おーい、始まるよ」と、声掛け、まだ、聞かない
ので
「うぉ~い」と今度は強めで言うと、一人が
「マーシー、この次の授業、出たくねえから、
ふけっていい?」に対し
「ばか、言ってんじゃないよ、(教室に)入れ
よ!」と一蹴。

”極悪同盟”に臆することなく、対応していた
真潮君って、ほんとうに素敵です。
ただ、真潮君が本当に頼りにしていたのは、小林
先生よりも、クラスのもう一人だったようです。