少年カワシュー・Vol25/八千代篇 ~真夜中の・・~

少年カワシュー

それは、ある晩の”丑三つ時”、カンカンと、
響くヒールの甲高い、景気良い、足音。
「もういいっ」と、泣きしゃくりながらながらの
女性の声。受験生カワシューは、右の耳で、確か
に聞きました。
「なんだよ、この非常時(受験を控えて)に、
うっせーな」と、角部屋にあるカワシューの北側
のカーテンを、少しだけ開き、その隙間から見る
と、2階建てのアパートの2階から降りる階段の
途中、男女が向き合っている様子。

カワシューの勉強机の前面は、空き地で、その先
には前述した”秀才、金子君”の家がありましたが
右側には築、何十年かわからないほど老朽化した
アパートがありました。階段は鉄製で、ところど
ころ朽ちていて、アパートの名前は知りませんが
カワシュー的には”ドクダミ荘”と名づけていまし
た。

男が女の肩に手をかけてに、ブツブツ言っている
ようでしたが窓も閉めているので、もちろん何を
言っているかわかりません。
要するに、”男女の揉め事”だと、受験生カワシュ
ーはすぐに分かりました。カワシューでなくとも
だいたいの人は、そのような見方をするでしょう。
あんまり、カーテンを広げると感づかれるので、
息をのみ、慎重に、慎重に見守りました。
本来、こんな場面で”慎重”を使い切るのではな
く、ケアレスミスが散見される、模試の方で
”慎重”を期すべきところカワシューってあきれた
もんです。

しばらく、隣のアパートの階段途中でいる男女
と、カワシューは、硬直状態で、数分・・・
男女は、和解したのか、階段を数段上り男の部屋
と思われる部屋に戻っていきました。

と、話の”オチ”はないのですが”男女の揉め事”
に何かを期待したカワシューは、勉強そっちのけ
で、”独り相撲”のような立場となり、行き場のな
い”モヤモヤ”を引きずることになりました。

ラジオから流れる、オールナイトニッポンは、
月曜日は拓郎、土曜日は鶴光、で、その両方では
なかったので、他の曜日と思われます。女性の声
だったので、イルカ、か、小林麻美だったか、
はたまた、”セイヤング”の水沢アキ”だったのか?
今思うと、懐かしい”青春の”一コマの様に思えま
す。