少年カワシュー・Vol20/八千代篇~右か?、左か?~

少年カワシュー

”少年白虎隊”、指導に当たる、体育の青野先生
は、下っ腹がでていて、日焼けした油ギッシュ
な光沢のある顔をしていて、野球帽よりは、
ヘルメットが似合う風貌でした。
また、アイパーをあてた前髪はこんもりとしな
がらも、オールバックの髪型は強風でも乱れな
い鉄壁のヘアスタイル。
例えていうなら、米俳優の故ジェームス・
ガーナ―と、金剛力士像を足して二で割ったよう
な、男性ホルモンが、鼻から、耳から、むんむん
と溢れ出ていると言う感じでした。

そのわりに、ジャージのズボンはくたびれたもの
で、テロテロなので、”アレ”というか、”ナニ”が
右に行ってるか、左に行っているか、一目両全で
した。
折角ヘアスタイルが決まっているのに、短パンを
はいて、保護、というか、フラットにした上にジ
ャージはけばいいのにと、いつも思っていました。

そんな”少年白虎隊”ですが、カワシューが転校生
であること知ってか、知らずか、拡声器で、
「4組川原、〇〇、・・・手が反対!右じゃなく
て、左!左だろうがっ!」とカワシューをはじめ、
数人にダメ出し。
そんなこと言われても、今日が初めてですやん。
と、言いたかったのですが、泣き寝入り。
「左と、右を、気をつけなきゃいけないのは、
あんたのほうだろ!」と言いたかったのですが、
それも言えず、泣き寝入り。
こうなったら、将来、自分が教頭先生になって、
ハラスメントの青野先生に対して
「青野さん、ジャージのズボンがテロテロで、
教育上良くないんで、新しいジャージにしてもら
えませんか?お金がないんだったら、お貸ししま
すよ」とかなんとか言って、鼻っつらに、二つ折
りの万札を、人差し指と、中指で挟んで、突きつ
け、ネチネチといじめてやろうと、心に決めた
中学3年生の少年カワシューだったのです。