少年カワシュー・Vol19/八千代篇~少年白虎隊の舞~

少年カワシュー

当時、体育の授業は2クラスが合同、男女分か
れてやるようになっていました。カワシューが
いる4組は自動的に、例の3組と一緒でした。
体育の内容は、市内の中学が一同に会する、
秋季運動会に向けての出し物で、”少年白虎隊”
をモチーフにした踊りでした。
「戦雲暗く、陽は落ちて、弧城の月の影悲し~
・・・・」何とも、冒頭から、ダウナー系の
講談調。
今思えば、一度、聞くと”耳から離れない中毒
性”のあるフレーズは、平壌テレビのベテラン
女性アナウンサーを彷彿とさせる、独特の
節回しでした。

そのストーリーはと言うと・・・・
「時は、幕末、戊辰戦争のなか、高い志をもっ
て戦に参加した、少年たちが、城を守っていた
が、その甲斐なく攻め込まれ敗戦となって、
自害する・・・」
少年戦士たちの一途な想いの最終形が「自害」
と言う形となり、それを、美徳とするとこと
で、武士道を貫いた彼らを称賛する・・・

少年たちが、尊い命を落とすという、の結構
ショッキングで、教材にするのは問題あり、と
思われる内容でした。盆踊りでもなく、
よさこいでもない、扇を刀に見立てた、何とも
説明しがたい微妙な踊り、カワシューにとって
はメランコリックな時間以外の何物でもなかっ
たのです。

みんな、1、2年からその”少年白虎隊”をやって
いるので、難なくこなしていましたが、
カワシューは事前の情報を得ておらず、何の
ことやらわからず、札幌の中学で、スキーの
授業についていけなかった時同様に、落第生と
いう身分となりました。