少年カワシュー・Vol44 新生活篇

少年カワシュー

お話ししたの、どこまででしたっけ?そうそう
一浪の末に、第1志望はまただめで、美術の才
能のなさを実感し、第2志望の大学に行くこと
になりました。
入学式の日、去年、現役の時に試験場で知り合
いになった二人が、バス停まで走ってきて出迎
えてくれたことを覚えていて、よくも覚えてく
れていたもんだ、と感動しました。
キャンパスは、JR中央線のその頃は終点の
高尾駅、その高尾からはバスでグネグネした山
道を登り、ようやく辿り着くという、人里離れ
た場所にあるような大学です。バスを1本乗り
過ごしたら、1限目はアウト。のちのちの単位
にも係る絶望的なロケーションでした。
言ってみるなら、「なぜそこに?」とか「ポツ
ンと・・」或いは心霊スポット的なイメージが
あると言ってもいいでしょう。
しかし、このロケーションゆえに、誘惑がなく
創作活動に没頭できる環境であるとも言えます
志あっての新たなステージ、希望に満ち溢れる
のが本来の心境でしょうが、そのロケーション
だけで、わかっていたものの、これからの4年
間、思いやられる気持ちも混在していました。
千葉から高尾、高尾からまたバスの片道3時間
コース、と言うこともあり、一般教養を取得す
る2年間だけは、親に無理を言って、高尾のい
っこ手前、西八王子に、風呂なし、トイレ共同
のアパートを借りることになりました。
山口百恵と三浦友和が結婚、ジョンレノンが銃
殺された1980年(昭和55年)。マイルドセブン
が180円。マクドナルドのハンバーガー180円、
ディズニーランド1DAYパスポート3,900円。
ポカリスエットやウォシュレットが世の中にで
た時代。
少年カワシュー19歳。新生活のはじまりです。