美大受験の”予備校”なので、晴れて、大学に合格すれ
ば、卒業なのですが、ちょっと変わっていて、ソフト
ボール大会や、バーベキューの日帰りバス旅行などの
行事がありました。
みんな、一日中、黙々とキャンバスやデザインのボー
ドに向かい、デッサンをしたり、来るべき日に備えて
心に余裕がなくなってしまいがちでした。
しかし、そんな”黙々の人たち”に1日や2日気分転換
の時間を与え、目標に向かうためにギアをあげる手伝
いをしよう!結果、我予備校の合格率も上げていこう!
という狙いがあったのかもしれません。
そんな、バーベキュー日帰りバス旅行の帰りのバスの
中の出来事。歌いたい人はマイクを回すから言ってち
ょうだいと、主任先生のひとことその頃としては、め
ずらしく、バスにはレーザーディスクのカラオケが装
備されていました。
いきなり、そんなこと言われても、困るよと、誰も手
を挙げない状態のなか、主任先生が、「んじゃ、俺が
裕次郎の『錆びたナイフ』歌うから」と。完全に
”裕次郎モード”
”砂山の~♪砂を~指で掘ってたら~♪赤く錆びた♪ジ
ャックナイフが出てきたよ~♬」
といい気分。裕次郎は知っていたが、裕次郎の歌まで
はあまりよくわからず、みんな引いていました。
すると、近くにいた同級生(どうみても年上)が、隣
の席に人に向かって「先生、また『錆びたナイフ』だ
よ、俺もう4回は聞いたね。」と、どっきり発言。
あんた、4回ってことは、このイベントが毎年1回ある
としたら、過去に3回も参加してるの?この予備校に
何年もいるの?何浪しているのですか?と、さすがに
動揺をせずにはいられなくなり、先生が歌う
「錆びたナイフ」を聞くのは、最初で最期にしようと誓
ったカワシューでした。