国鉄・総武線の新検見川から中央線の高尾、高尾から西東京
バス、と言う遠距離通学ということもあり、一般教養を取得
する2年間だけは、親に無理を言って、高尾のいっこ手前、
西八王子に風呂なし、トイレ共同のアパートを借りることに
なり、銭湯通いが日課となりました。現在の入浴料は大人550
円だそうですが当時は200円くらいでした。
今でこそ、入浴施設の利用は「彫り物」がある人の入浴は禁
止されているようですが、当時は背中に桜吹雪を中心に、龍
やら鯉の立派な彫り物をされている人たちがわんさかいて、
西八王子って愛好家が大勢いる土地柄なのかと思い、当初は
体を洗うのもそこそこに、すぐに上がってしまったのを覚え
ています。
しかし、そのうち慣れて壁に描かれている、赤富士の鮮やか
さや、蛍光イエローに赤い文字で「ケロリン」と書かれた桶
の色と相まって、カワシューの眼を楽しませてくれました。
ある日、脱衣場でコーヒー牛乳を飲むため、小銭入れをごそ
ごそしていたら、小銭をバラまいてしまいました。と、その
時、パンチパーマのおっさんが「兄ちゃん、これ」と言って
小指がない手で硬貨を拾ってくれたことがあり、その、やさ
しさにふれ、過剰にビビるのをやめました。
少年カワシュー・Vol46 ~銭湯は総天然色のワンダーランド~
