家族の歴史を考える ~プロローグ~

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ふるさとについて考えるきっかけ
ところで、青春時代の私はと言えば「郷土愛」などとい
う気持ちはまだ芽生えておらす、心ときめくのは新宿や
渋谷などの都会の街の方でした。
もっとも、両親も新しくできた町に移り住んで間もない
ころであり、地域とのつながりを考えるほど気持ちに余
裕はなく「今日一日、或いは、これからどうのように生
きてゆこうか」ということを考えることの方が優先順位
としては上位にあったと思います。そんな新しい町は、
我家と同様にいろいろな場所から移り住んできた人ばか
りで、鎮守様のいない町で住民同士の交流はこれからス
タートする、というような状態でした。

ふるさとや地元愛について深く考えたことがなかった私
ですが、家庭を持ち、年末にカミさんの実家で行われる
「餅つき」に参加して感じたことがありました。
それは「餅つき」というテーマについて、そのテーマの
ために親せきが集まる。焚火にかけたもち米を蒸す、餅
つき機によってできた餅を伸す。次のもち米を蒸らす間
に焚火を囲んで、この1年あった出来事など、たわいも
ない話をする。と言うように、人と人とのかかわりあい
が各工程を通して生まれる、と言うことです。
祭りも然り、人と人との関わり合いなしでは成り立たな
い、だから、そこに愛着が生まれるのだと思いました。