”そうめん”。気温の上昇に伴って、そろそろ食べたくなり
ます。実は、富山に住んでいた子供の頃、そうめんが嫌い
でした。そうめん自体に罪はないのですが、嫌いな理由が
2つありました。
ひとつは、家族はともかく、よく知らない親戚が家に来た
時に冷たい水に氷を浮かべたガラスの器に入った、そうめ
んををさぁ、食べようと言うことになるのですが、人間関
係が近しくないおじさんが、そうめんをすくうためにガラ
スの器に、箸を入れるのですが、おじいちゃんとかと話し
ながら食うので、そうめんを、すくうんでもない、箸にひ
っかけて水の中で泳がし、また、別のそうめんを箸ですく
うという様子をみて、
「うゎ!なんて、きったねぇことをすんだ、このオヤジ」
と、衛生上問題ありと、子供心に思ったもんです。
いまは、氷水に浮かべた、そうめんを囲んで、みんなで食
べることはせず、よく、水切りしたそうめんをめいめい皿
に盛り、食べるというのが、我家のスタイルです。
もっとも、食事時にそうめんを喰いに来る、図々しいオヤ
ジなどいませんけどね。
ふたつめは”つゆ”に難点がありました。子供の頃はめん
つゆなどなかったので、だしをとって醤油で味付けするの
がどこの家庭でも普通でした。
つゆだけでは、少し物足りないと、お爺ちゃんから母への
リクエストで、具が入ります。
それは、ナスとシイタケです。ただでさえ黒い醤油のつゆ
に、これまた黒っぽい、ナスとシイタケ。シイタケはだし
が出るので50歩譲って良しとしますが、ナスはいけませ
ん。ナスの皮からにじみ出る”色素”が、暗黒の闇のつゆ
を、更に暗黒の世界へと導くのです。
更に、更に良くないのは、たんぱく源も必要だろうと、富
山の名物でもある、周りがオレンジ色やら水色の”かまぼ
こ”が入り、暗黒さ加減をを引き立ててしまうのです。子
供ながら、そうめんのつゆに地獄絵図を見ました。
そうめんや、ナス、シイタケ、周りがオレンジ色や水色の
かまぼこのそれぞれに罪はありません。生産者の方たちに
敬意を表するのは言わずもがなですが、そうめんつゆにす
べての具材を投入するのではなく、つゆの具はせいぜいシ
イタケのみ、その他は、別盛りがいいと思いました。
できれば、ナスは素揚げで色鮮やかな紫色にしたものを、
しょうがや、大根おろしを添え、そうめんをすする合間
に頂きたいと思う、シニアカワシューでした。