老人ホームで暮らす94歳の母は、入所時の数年前からは
自炊することが困難となり、冷凍宅食なども利用していま
したが、かつては、家族のために腕を振るい様々な料理を
提供してくれていました。
とんかつ、唐揚げ、ハンバーグ、カレーライス、青椒肉絲
等々、家族のだれもが、笑顔になれるメニューは想い出に
残っています。
時々、かなり込み入った料理も作ってくれましたが、その
なかで、特に思い出深いのが、”ピロシキ”です。
衣に当たるパンの部分は、イースト菌を使い、発酵を経て
手間暇がかかります。
また、具材は、合いびき肉、春雨、みじん切り玉ねぎ、ゆ
で卵を崩したもので、味は塩コショウでした。
その具材を、餃子を包む要領で、パン生地で包み、最後は
油で揚げて完成。
見た目は、パン粉をつけない”カレーパン”のようです。
母が”ピロシキ”を作ってくれたのは、彼女が幼い頃に食
べて記憶が残っていたため、家族にも食べさせてあげたい
と言う気持ちからだと思います。
ところで、母の出生地は、中国のハルピンです。ロシアや
中国の戦争に勝った日本が、極寒地に「満州鉄道」を建設
しようとするなか、母の父、カワシューのお爺ちゃんも
「満鉄」の技術者として、家族と共にハルピンに住んでい
ました。
「満鉄」勤める人たちは、比較的に厚遇されていて、食事
をはじめ、日常生活全般をサポートしてくれるロシア人の
メイドさんがいたそうです。そのメイドさんが作ってくれ
た”ピロシキ”に出会ったと聞いています。
その”ピロシキ”の味を求めて、パン屋で”ピロシキ”と
銘打って売られているものを食べましたが、ミートソース
が入っている揚げパンで、残念ながら、母の”ピロシキ”
ではありませんでした。唯一、銀座のロシア料理店で提供
される”ピロシキ”が最も近しいものでした。
また、カワシューも幼い記憶と、ネットにあるレシピを頼
りに、”ピロシキ”に挑戦しましたが、到底、母の味には
及びませんでした。
子どもの頃に食べたものは大人になっても忘れないもので
手間暇を費やす”ピロシキ”も、そのひとつで、母の愛情
を感じる一品と言えます。
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ブログ/カワシューのぶらぶら節をご愛読いただきありが
とうございます。さて、予告編のご紹介です。
社会人になりたてのカワシューを回想した「新入社員カワ
シューの日常」の新連載です。新宿のビル竣工から約半年
舞台を、新宿からもんじゃ焼きで知られる「月島」に舞台
を移し、活躍する痛快?アクション篇?です。
内容的には、TVドラマの再放送で冒頭のテロップで紹介
されるものも含まれています。こんな感じ
「現代では不適切と思われる表現がありますが、オリジナ
ルを尊重して当時のまま放送します」
なので、「P12」としておきます。
どうぞ、御期待ください。因縁のY課長も登場します。
登場人物をイメージしやすいように、俳優さんの画像を実
名で使っているので、こっそり見てください。
結果、Vシネになってしまいました。