カワシューのひとりごと Vol 35 ~ 昆布の文化~

カワシューのひとりごと

小学生の頃、「都こんぶ」は遠足のおやつのエース的な存
在でした。バナナ1本はおやつに入るか、お弁当のお供に
なるのか?毎回議論のテーブルにあがるなか、当時10円
くらいでコスパも満たされるので、躊躇なく「都こんぶ」
を選んでいました。

さて、こんぶ繋がりで、父の故郷、富山の郷土メニューの
お話しをさせて頂きます。

おにぎりと言えば、海苔をまとわせるのが定番ですが、
富山では”とろろ昆布”をまとわせるおにぎりもポピュラー
なもので、地元コンビニでも販売されています。

まぁ、もっとも、海苔と、とろろ昆布、同族の”海藻”繋が
りなので
「そっか、そっか、なるほどね、これもありだよね」
と納得してもらえると思っています。

外見は、海苔の場合、食べる前に巻く”パリパリタイプ”
か、ごはんにしっかりとまとわせる”シットリタイプ”の
2種類がありますが、とろろ昆布のおにぎりはごはんのま
わりに、衣をつけるような感覚で、どちらでもない、
ふぁ~と、絡ませる”ふんわりごろもタイプ”です。
味は、糸状のとろろ昆布が、口のなかに絡みついて、永ら
く、海の味を楽しむことができるという、クロレッツ状態

また、富山では「昆布〆」という食べ物があります。
刺身などの食材を昆布の間に挟み、昆布の風味をしみこま
せたもの。 昆布締めにすることでより深い味わいになる
ほか、刺身の場合は日持ちがよくなる効果もあります。
カワシューも、割とお買い得な刺身用の鯛の冊を昆布〆に
して食べることがあります。鯛の水分が抜ける代わりに
昆布のうまみが冊に乗り移って、旨い事この上ないです。
これも、富山の昆布文化と言えます。
その他、ニシンを巻いた昆布巻き、昆布を巻いた蒲鉾も
富山の名産品です。

ところで、富山近海では、とろろ昆布の原料となる昆布は
獲れません。
富山の昆布文化のはじまりは、江戸時代に北海道を起点と
して日本海沿岸を運行していた北前船に起因するそうです。
各地の特産品を輸送していた北前船は富山(越中)にも寄
港し、その際、富山の薬と、北海道産の昆布が交換されて
いたと言われています。

また、北前船で運ばれた特産物は、直接ではないかもしれ
ませんが遠くは琉球王国にまで届き、沖縄の砂糖と、北海
道の昆布が交換されていたようで、富山の昆布文化と同様
に、沖縄では昆布出汁のソーキそば、細切りの昆布を使っ
たクーブイリチャーと言われる、昆布の炒り煮が食べられ
ています。

思わぬ食材が、思わぬ異郷の地でブレイクしている。
その、歴史や背景に思いを巡らせると、ロマンすら感じる
ことができます。
”海藻”だけに、食文化として”根付いて”いるんですね。
「そうかい?」なんて言わないでください。