テレビドラマで「深夜食堂」という番組がありました。
新宿の片隅で、深夜0時から翌朝7時くらいまで営業して
いる、小さな食堂が舞台です。
昔はヤンチャしていたマスターが1人で切り盛りする、カ
ウンターだけの小さな店で、そこを訪れる人々の、悲喜こ
もごもの人間模様を描くと言うストーリー。
メニューは豚汁定食だけと言いながら、食べたいものを言
えば、できる範囲で作ってくれると言うシステム。
悪酔いして、くだを巻く客には、
「うちは、めしやだから、酒はビール、お銚子、3本まで
しか出せないよ」がマスターの決めゼリフ。
クスっと笑ったり、泣けたりするシーンがあったりと30
分番組とはいえ、ギュッと詰まった内容です。
そんな、深夜食堂のマスターに憧れを持っています。
正月の繁忙期にお雑煮を作るシーン。
昔、マスターといろいろあった、和服姿の小料理屋の女将
が助っ人に現れ、のしもちを切る場面でのやり取り
マ「(女将に)餅を切ってくれるかい?」
女「(意味深な表情で)やだよ、私は、餅は焼く専門」
マスターは、ばつの悪そうな顔で、手で額をポリポリ。
若い頃、モテモテで浮気癖があったマスターに、
あの頃、あんたには、いつも”やきもち”ばかりだったの
よと、言いたげにチクリ。
また、別の回では、
娘と、初老の男、いつもは別々にこの食堂に現れ、別々
のメニューを食べるのだが、いろいろあって、絶縁状態の
親子だと言うことを知ったマスターは、口実を作って
二人を招く。そして出したメニューは、鶏肉ととろ~り
たまごの「親子丼」。なんとも、ギクシャクした空気に
親「俺は、豚汁定食たのんだんだよ」
子「わたしは、オムライスだよ」
と、驚く二人に、マスターが
「今日は、俺のおごり、親子丼。まぁ、食べてみてよ」
と、ひとこと。
「親子仲良くやってよ」という願いを込めて、親子丼の登
場、ギクシャクした空気がほぐれるというシーン。
なんとも、マスターの気の利いた計らいなんでしょう。
しかし、自身の成功談をまくしたて、金さえあれば何でも
望みは叶うもんだ、と豪語し、店の空気を悪くするバブリ
ーな客に
「悪いけど、ウチの暖簾をくぐる時は、肩書なんて捨てて
きなよ」と一発かます。また、店で喧嘩が始まった時、
「喧嘩なら、外でやってくれ」と、ビール瓶もって物静か
に一発。
そんな、カッコいい啖呵が切れるか?憧れはあるけれど、
そもそも、料理が万能じゃなく、気が小さいカワシューに
は、深夜食堂のマスターは無理だと思いました。