Yes!カワシュー・Vol6 ~熱血!新宿アーバンカウボーイ~

Yes!カワシュー

新宿2丁目のビルの建設現場の事務所には、毎日いろいろ
な人が来訪しました。
工事関係者はもちろん、施主側の人々、ビルに入居するテ
ナントさんたち、近隣の人たち等々でしたが、なかには
少々面倒な「似非同和」と呼ばれる人たちも来ました。

「似非同和」の話をする前に、「同和問題」について、
法務省は以下のように記述しています。
(法務省HPから抜粋・引用)
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00127.html

「同和問題は、日本社会の歴史的過程で形作られた身分差
別により、一部の人々が社会的に低い状態に置かれること
を強いられ、結婚、就職などの日常生活の上で差別を受け
たりするなどしている、我が国固有の人権問題」と、

一方、「似非同和」と呼ばれる人々の存在です。
「似非」(=偽物)とは差別を受けていた人、あるいは子
孫の方々を騙り、被害者面をして、企業や官庁に不当な金
品の要求をする連中なのです。
反社会的勢力もその名を騙って資金源にしていました。

そんな、ニセモノ、「似非同和」の人たち。チョイチョイ
来ました。
具体的には建設現場の「騒音」「悪臭」「粉塵」などの苦
情と称して、いちゃもんをつけ、迷惑料をせびりに来るパ
ターンでした。

もちろん、建設会社もそのような悪さをする連中が現れる
ことは、想定内で、社内の法務部門、外部の弁護士、行政
をもって、鉄壁のデフェンス体制を構築し、対抗していま
した。
そんな人々が来るのは、工事事務所で、その、フロントに
いるのが、言わずもがな、我上司、Y課長だったのです。
とある日も「似非同和」と思しき人が現れ、Y課長が対応
していました。

客(物腰柔らかく)「(カクカク然々で)このビルの建築
騒音で、困っている人から相談を受けた者です」

Y課長「それは、大変ご迷惑をおかけして、申しわけあり
ません」と、見たこともない紳士的な振る舞い。

話は続きましたが、最終的には金銭の要求になった途端、
Y課長「当社は、近隣の皆様には、既にご挨拶を済まして
いますので、そのような要求にはお応えできません。」
と、バッサリ(いいぞ!Y課長!)

更にY課長、その人に顔を近づけて
「具体的に、何月何日何時何分に、どこで、誰が、どんな
迷惑をこうむられたのか書面で出してください。
弊社も法務部門と弁護士、更には当局と相談して、適正に
対処します」
と、キッパリと言ったところで、その人は退散し、再び現
れなかったのですが、同様の人は後を絶ちませんでした。

一連のやり取りを目の当たりにして、サラリーマン・カワ
シューはY課長がこの役割を担った意味がわかりました。
まさにに絶妙なキャスティング、適材適所の人事だったと
言えます。