月島不動産。店先には、乾いた土が入っている、発砲スチ
ロールから、巨大なアロエが伸びていてオレンジ色の花を
咲かせていたのが印象的でした。 ガラスのドアを開け中
に入ると、金魚やら熱帯魚がいるのか、いないのか確認
できない、緑の藻がべっ たりと付着した水槽があり、
ブクブクとエアーポンプが音を たてていました。
既に面識があったY課長は「うぃーす!」と、手を挙げて
すんなり店の中へ。 そこには、男性4人とおばさん1人
の5人がお昼ご飯の 最中でした。 黒革のソファーに座り
皆さん、ビールを飲みながら(ビールですよ!) 黙々と
穏やかに昼飯を食ていましたが、よくみると、応接セット
の机の上には炊飯器がおかれ、おばさんが若い男性に、お
かわりのご飯をよそってあげながら、 「もっと?よく食
べるわね」と、普通の家庭の昼時の光景でした。
もっと、よく見ると、大皿にはゆでた細うどん、それを箸
でとって、たれにつけ、ズルズルとすすっている人もいま
した。
何より、驚いたのが各人の前に、尾頭付きの金目の煮魚が
また、木箱に盛られた「生ウニ」が3箱置かれて思い思い
に、その生うにを贅沢に白飯に載せて頬張っていました。
これは、どう見ても普通の家庭の昼ごはんのおかずではな
いと思いま した。
そんななか、Y課長が カワシューの肩に手をかけ
「これ(これとはなんだ!ものじゃねえだろう!)うちの
若手のエース(やめろって、そんな言い方!重いんだよ)
川原。根性だけは(だけはってなんだよ!)あるけ~、使
うてつかぁさい」と、相変わらず、お勝手なY課長節。
カワシューが挨拶をすると、俳優のベンガルに似たどこに
でもいるような50代くらいの社長さんらしき、おじさん
が、むせながら、ウンウンと頷き 「お世話になります
ね、(ゲホ)今度、マグロのいいとこ ろを買って来るん
でお昼に一緒食べましょう! そうそう、新しい自転車、
使ってくださいね」
と自転車のキーを掲げて、にっこりしていました。
この時で”やばい度”180%。 ビル工事事務所勤務の後、
リハビリ期間ともいえる半年を過ごし、スーツを着て、
ネクタイ締めて、ようやくまとも に戻ったと思ったら、
また、このわけのわからない状況に 陥ったため、先程の
胸の高鳴りは、”胸騒ぎ”に変わっていきました。

  
  
  
  