Yes!カワシュー・Vol 15 ~ネクタイ締めて再起動~

Yes!カワシュー

新宿2丁目のビルが竣工したあと、ビル管理全般について
は、関連会社にバトンを渡し、工事事務所に勤務していた
Y課長以下、小手指のノリちゃん、カワシューはその任を
解かれ、一旦本社に戻り、バトンタッチしたビル管理部門
の後方支援の傍ら、不動産部門に配属となりました。

当時はまだまだ、バブリーな時代で土地を取得してそこに
商業ビルやマンションを建て一儲けする仕事はデベロッパ
ーとゼネコンの事業領域拡大路線であり花形でした。

そもそも、勤務先のゼネコンは、埋め立て地を作るために
海を掘る、といういわゆる浚渫工事ではパイオニア的な存
在ではありましたが、その浚渫事業は頭打ちとなったため
後発で、遅れをとっているビルやマンションの陸上建築を
手掛けようと少々焦りもあるような状況でした。
その証拠に、地元の広島でマンションを建てたが、設計ミ
スで防水パンスペースに、一般的な洗濯機が収まらず、
そのスペースに収まるような洗濯機を設置し、標準仕様
で販売するという、珍プレーを演じたと聞いています。
「最新式洗濯機完備で理想のマンションライフ!」とか、
適当なキャッチフレーズで売り出したのでしょう。
しかし エアコン完備ならわかるけど、洗濯機完備と言う
のは、 聞いたことないし、怪しいことこのうえありませ
ん。出血覚悟で100戸を売り切るしか道はなかったの
です。

そんな先が思いやられる珍事もあったからかどうかわかり
ませんが、勤務先のゼネコンも陸上建築で一発逆転を狙う
べく、大手のデベロッパーとタッグを組んで都市の再開発
事業に参入しようとしていました。
カワシューはヘルメット、作業服から卒業し、スーツに
ネクタイ姿で、新しい環境に思いを馳せるのでした。