カワシューのひとりごと Vol 44 ~シェフを呼んでください ~

カワシューのひとりごと

「シェフを呼んでください」っていうセリフ。
一度、言ってみたいけど、言えないだろうな。
キューブ型のパスタの調味料のCMでもやっていますね。

しかし、そんなセリフを言っていいのは、いかにも食通
と思しき老齢に近い紳士たる人の言うセリフですね。
そんな人は、皿を引き上げた店員さんか、会計の際に
さりげなく、
「『今日もおいしかった』ってシェフに伝えといてくだ
さいね。もちろん(あなたの)接客も申し分なかった」
と 言うのでしょう。お洒落ですね。

わざわざ、シェフを呼びつけるからには
「おいしかった、仔牛のローストの絶妙な火の通し方、
ソースの隠し味の”八丁味噌”が、憎いほどのアクセン
トになっているね。単なるペアリングと言うのではない
和と洋の”マリアージュ”と言いたいね。
ワインののチョイスは僕だったんだけど、ソーヴィニヨ
ンよりも軽やかなピノ・ノワールの方が相性が良かった
ようだ、お互いを邪魔しないというか、いい距離感が
あった方が良かったような気がするな、男と女もね。
なんてね。フッ、フッ・・・僕も、まだまだだね。」
と、料理の細部にまで踏み込んだコメントを用意する
必要があると思います。

そんな人が、街の定食屋さんで
「この肉じゃが、じゃがいもと、ニンジン、シラタキ、
そして、主役の豚肉が、各々の持ち味を生かしながら
融合している、この世界観をみんな伝えたい。ご主人
を呼んでください。ブラボー!」 なんて言ったら、
どうでしょう?女将さんはこう言うでしょう。
「ほめてくれてるのかわかんないけど、ありがとね。
でもね、今、昼時だから、厨房はおとうさんだけだし、
あたしも忙しから、またゆっくり聞くわね。
(いらっしゃぁ~い!)お客さん、相席いいかな?」
と言われるのがオチでしょ。

ま、カワシューは高級店には全く縁がありません。
定食屋のおばちゃんに
「おばちゃん、今日もおいしかったよ、この肉じゃが」
というのが、精一杯で、
「あら、そう?味付けなんか、テキトーよ、その日の
気分なんだから、おとうさんは、いつも『母ちゃんの作
ってくれたやつは、いつも、うめぇ~よ』って、言って
くれるけどね、あらあら、おのろけちゃったみたいね、
ひゃ、ひゃ・・・(笑い)」
なんていう、店の方が居心地がよさそうです。