Yes!カワシュー・Vol4 ~燃ゆる昭和の任侠上司~

Yes!カワシュー

Y課長。血の気が多い人でした。
時々、花園神社付近に来る移動献血車に出向き、こっそり
と、献血をしていたのを、カワシューは知っていました
飲み会の席では、たびたび熱くなり、つかみ合いをする場
面もありました。ただ、1980年代初めの当時、それも
珍しいことではなく、アッチコチでそのような場面に遭遇
しました。
当時は、コンプラやハラスメントなどと言う概念はなく、
昭和を象徴するような熱い男たちが、演じる昭和劇場の
1コマでもありました。

実際、Y課長の上司、T部長からカワシューには
「あいつは(Y課長)は、すぐに頭に血がのぼってしまう
ところがあるけ、おまえが、体を張ってでも、ブレーキを
かけんといかんぞ」と、わけのわからない一言がありまし
たが、野獣のような上司をコントロールするのは、上司の
あんたの役割でしょ、と返したかったです。

団塊の世代と言われるY課長、何かにつけ対立軸を引く傾
向にありました。おそらく多くの同年代に競り勝とうとす
るサガのようなものがあったと思われます。
なので、勝負事が好きでした。特に麻雀。役満を出した
時、
「スー!アン!コウ!、ドラドラ・・・」と叫ぶや否や、
テンションが高まり、のけ反った勢いで、椅子ごとひっ
くり返って後頭部を6針縫うという小話もありました。

そんな、Y課長、事業のパートナー企業の、もともと、折
り合いが悪い、担当課長と打ち合わせに出かける際、上席
にも聞こえるように
「あいつ、今日こそ、ぶっ飛ばしてやるけ~の!T部長!
ワシャ~、刺し違えても、うちの(会社)の条件を飲ませ
ますからね!ワシはこの場でハッキり言っときますよ!」
と早くも、戦闘態勢。(熱くって、疲れる)

T部長は、バカ言ってんじゃないよ、とばかりに微笑みで
返し、何も言わない。

Y課長は、そのテンションで、カワシューにひとこと
「川原、ワシが帰ってこんかったら、あと、頼むで!」
と任侠映画の主人公になり切った感じで、出かけようとし
たところT部長が、Y課長に声をかけました。
きっと、Y課長をなだめるひとことかと思いきや

「おい、Y!これ(書類を掲げ)ハンコ、抜けてるやな
いか」
と、拍子抜け。非常に”いい間”で、オフィスからはクス、
クスと笑いがとれていました。
Y課長も啖呵をきったものの、ばつが悪く「さ~せ~ん」
とばかりに、自席に戻り、ハンコに朱肉をつけた後、
ハ~っと息を吹きかけ、部長席に向かい、捺印を済ませ
ました。
武闘派と思いきや、”笑いの取れ高も高い”Y課長でした。